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遺言

任意後見契約と遺言について

日本の後見制度には補助、保佐、成年後見、任意後見と4種類の申立ての制度が存在します。いずれも本人の判断能力が低下した場合に申立てがおこなわれる点について共通しております(どの制度が利用できるのかは、判断能力の低下の度合いによって変わってきます)。補助人、保佐人、成年後見人の職務は判断能力が低下した方の財産を管理、時には処分する大きな権限を持つ職務です。しかし財産の所有者である本人に、補助、保佐人、成年後見人が選任された場合、自分の財産を管理する後見人等が誰になるのかがわからないケースがほとんどでしょう。なぜなら本人の判断能力が低下してから申立てが行われ、家庭裁判所から選任されるからです。

この点について不安で不気味と感じる方が少なからずいらっしゃいます。自分の財産を管理する人間を誰にしたいのかを選択するという極めて重大な決定に、財産の所有者である本人の意思が反映されていないからでしょう。現在の法律では補助人、保佐人、成年後見人を、自己の判断能力が低下した時に備えてあらかじめ選任する事が認められていないのです。ここで登場するのが、“任意後見契約”です。任意後見人は契約によって、判断能力が低下した時に備え本人の後見人に就任する人間を決定することができるのです。

任意後見人の職務は判断能力が低下した本人に代わって財産を管理、処分、または訴訟の代理などを契約によって柔軟に定める事ができます。契約内容によっては、広範な代理権も持つ成年後見人とほぼ同等の権限を付与することもできます。この辺りの機能は遺言と類似しています。遺言は自分が死んだ時に備えて自己の意思決定を書面に託します。任意後見契約は判断能力が低下した時に備えて自己の意思決定を任意後見契約という契約に託すのです。いずれも自己の判断能力が十分な時に意思決定ができるのです。

ただし任意後見契約の効力が生じるためには厳格な要件があります。

①公正役場で公正証書による契約書を作成すること
②本人の判断能力が低下し任意後見の申立後に任意後見監督人(家庭裁判所によって選任され、任意後見人の職務を監督する。)が就任すること

上記①、②の要件を満たさないと任意後見人が家庭裁判所から後見人に選任されないのです。そのためか、任意後見人制度の利用件数は通常の成年後見人制度の10分の1に満たないと言われております。特に契約書を公正証書にしなければならない点が煩雑であるという印象を与えてしまうのでしょう。また、存在自体を知らいない方が多数いるのではと、私は感じております。判断能力が十分なうちに、自己の財産を管理してもらう、信頼できる人間を選択できるということは、極めて大きな利点だと言えるでしょう。

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